火力発電所の燃料比率で…

 まず最初に書いておきますが、自分は原子力発電所があるのならさっさと発電しろボケ、と思っています。
 今回の原子力発電所での発電をほぼ停止している状況は、何の得もないと考えているからです。
 いろいろ書けるんですがその点はおいておいて…


 解せない部分がたくさん発生して、インターネットを徘徊して調べた結果をここに書いておきます。
 2010年のデータで考えると、火力発電所において主要な燃料は天然ガスと石炭です。
 原油は基本的に主人公ではありません。
 でも電気代は原油で語られますよね、なんでって思いました。
 まずは、原油は主人公じゃないことの話から。


 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2012energyhtml/2-0.html
 2012年のエネルギー白書のページの「【第200-1-3】我が国のエネルギーバランス・フロー概要(2010年度、単位1015J)」の画像を見てもらいたいのですが、


 このあたりの本文も読むといいんですが、まずこの図の一番左を見ましょう。
 原子力、水力など、天然ガス、石油、石炭の順に色分けされていて、石油が日本のエネルギーを考える上で非常に重要であることが分かります。
 次に、その隣、2列目へ向かう矢印を見てみましょう、それら資源はどう分配されたかがわかります。
 あれ?石油はほとんど精製原油としていきますね。
 実は日本における石油のほとんどが輸送用など、に使われているわけです。そりゃあそうですね。
 日本の自動車はほぼ化石燃料で動くものばかりなわけで、そうじゃない電気自動車なんかごくわずかです。
 でも我々が問題にすべきは、発電にどれだけ使っているかですが…


 で、みてみると…、発電に使われるのは…189?原油全体で全体で8853のうち?
 全体の発電量8437のうち石油からの発電量は564?
 上の事業用発電だけで、化石燃料の中での石油による発電割合はエクセル先生によると約10.7%!
 一般に約15%だということなんですが…


 おっと、その下の濃い緑色の部分も発電(自家用発電)だ。そっちは275でこの中での割合は大きいですね。
 これ、すなわち自家用発電の部分も混ぜて、やっと約14.2%になります。


 これらは、エクセル先生に計算してもらいましたが、その他、事業用発電全体の中での石油による火力発電の割合は約6.68%、家庭用発電まで含めての合計の中での割合が約8.79%なんかも簡単に出てきます。


 いずれにしても、石油による火力発電なんか、水力発電など合計の685と同程度なんですよ。
 だけど、例えば中学の地理の東京書籍の教科書、146ページの記述は「石油や石炭、天然ガスを燃料とする火力発電所」と、石油が一番最初に挙げられています。
 これが納得がいかないんだな。


 で、そういうことを知ってからいろいろ見ると何だこりゃって話をインターネットで垣間見ることができます。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1210/12/news133.html

2012年10月の記事です。

 日本最大の火力発電所で主に使っている燃料はどれ?

a.石炭 b.天然ガス c.石油

 答えは見に行くと面白いですが、「日本最大の火力発電所」というのが重要。10月、このタイミングで確かに鹿島発電所が火力発電所の中では最大の電力を生み出しているようです。
が、数か月前、6月の段階だと富津火力発電所がトップでLNG、すなわち天然ガス発電所がトップです。


 つまりこの質問というのは、石油がトップであるタイミングを狙ってやっているんですね。
 でもこの答えのページにはまた重要な内容が書かれています。
 もちろん知っている人は知っている内容ですが、「現在石油を使う火力発電所は建設禁止」なのですよ。


 さらにこいつを見ましょう。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB
 からの引用

また発電コストは、2011年12月13日の政府の国家戦略室コスト検証委員会報告書案によると、2010年時点で天然ガスと石炭火力が約10円/kwhであるのに対して、石油火力は近年の原油高により37円/kwhとソーラー発電並みに高くなった。ちなみに原子力発電コストは天然ガスや石炭火力と同程度の約10円/kwhである。

 石油のコストというのは天然ガスや石炭に比べ(このときには)3.7倍。
 こんなんでよく石油で火力発電なんかやってるなとマジで思いますね。


 つまり、まず、今後石油を燃料とする火力発電所は法律改正しない限りできない(作るのは世界的に大逆行)。こと発電に関して石油の話を持ち出すのは、「わざわざ高いもの」を選んで比較をしている。
 原子力発電所が発電する分をわざわざ石油換算でどれだけ燃料費が上がるかを試算しているページなんかもあるんですが、まあ全くあり得ない話なのです。


 じゃあ、発電に使われる燃料費の増大というのは何の話?
 そもそもメインの石炭や天然ガスの燃料費はどうなってるのか、を調べないといけないことが分かりますね。


 まず、石炭は、多くをオーストラリアから輸入しており価格は安定しているそうで、カギになるのが天然ガスなんですが、実は震災以降天然ガスの価格が跳ね上がっている。


http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pngasjp.html
 のグラフなんかを見ると、2010年1月までは200USドル/立方メートル、ぐらいで推移だったのが震災以降値上がりし、400USドル/立方メートル、とおよそ2倍の値段に。
 なるほどこりゃあ影響あります。


 つまり、震災以降日本が輸入する天然ガスが高止まりしていることが問題だというわけです。
 この辺の話は、
http://president.jp/articles/-/6730

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1906O_Z11C12A2000000/
が参考になった。


 LNGなどの値段は過去、30年前の契約により原油価格に連動することになっていたみたいなので、原油価格が上がった!LNGの価格も上がる=火力発電所の燃料費が上がる、の構造。
 今後は契約更改、アメリカからの購入などから天然ガスも安くなることから電力会社もだいぶ持ち直すであろうと。


 こんな感じで調べる推移によってやっとなんとなく納得がいったんだけど、どうだろう。
 発電に関して天然ガスに注目しよう、という視点は大切だと思うのであります。


 そうそう、現在の東電の値上げに関しては例外の石油もからみます。
 なぜなら上記の鹿島発電所が石油による火力発電をやっている通り、原子力発電所の足りない分を石油を燃やして発電をせざるを得ない状況でして、これは2010年のデータでは分からないですが、かなり多く石油に頼っていることは分かりますからね。
 いずれにしてもこれに関しては日本全土を原子力発電所→石油の火力発電所の変換で、石油換算はあり得ないって話でした。