クロマグロ問題ワシントン条約組み込み否決

 なんてニュースはもう一週間以上前の話ですか。
 この事件というか、この話の推移は非情に面白い。
 ま、専門的な内容は相変わらずわからないので、外形的な話をかいつまんで書かせていただきますが、


1、モナコクロマグロ保護を訴えた。
 元首アルベール2世(2005年即位)は熱心な環境保護活動家で知られ、ま、たとえば日本としてはほぼ敵に位置するシー・シェパードと親交を深めているらしい。
 でも単純に日本に敵対してる人ではない。実際クロマグロで話題だった先の議決だが同時にホッキョクグマ保護でも同様の提案をしていてこちらも否決されている。
2、なぜモナコは訴えられるのか。
 別にどこが訴えてもいいのですけど(国連加盟国でもあるし)、日本との関係が薄いモナコだからできる、という考えが一般的みたい。
 なんと!国交は2006年締結。いやそれまでは、条約の関係でフランスの属国としての関わりだったらしい。
 日本向けには化粧品などを輸出しているが、依存しているわけでもないので多少日本と関係が悪くなっても大丈夫(てか日本って大国だねぇほんとに)ということはあるだろう。
3、ヨーロッパ各国、アメリカの賛同
 まず、クロマグロ自体の消費が日本に偏っている事実がある。中国におけるマツタケみたいなものかしら。
 元来ヨーロッパではあまり消費されていなかった魚だが、徐々に広がりを見せていることから乱獲が懸念されており、資源減少自体は事実、ということですでにクロマグロ漁獲制限を昨年度に2割3割削減が確定されていて、いずれは禁輸措置が取られるのではないかとも懸念されていた。
 このときにマグロビジネスがはやったんだけどその話はいいか。
 問題は、どのように保護を行うかというところにあるが、漁獲高で測り管理できればよかったのだけど、どうも、生簀養殖が始まったおかげで漁獲高での取り締まりが難しくなり、以前よりも乱獲が容易な可能性があるらしい。実際日本へ水揚げされたクロマグロの量に非常に問題があったらしい。
 そこで、資源保護、というよりはEUの囲い込みに近い気がするが、EU諸国にとってはメリットしかないので(環境保護は至高だし、EU内の流通に問題は出ないし)当然賛同する。
 アメリカの賛同は、ま、自国に影響が少ないからだろうね。環境保護という至高の取り組みをアピールできるのはいろいろメリットがあるし、ヨーロッパとの関係もあるだろう。
4、日本の反発
 当たり前だが一大輸入国だし大西洋でも漁業を行っているわけだから、関係各所の死活問題として認識される。
 シーシェパードがらみで海産物に対する異様な保護意識への懸念もあるだろう、でも一番問題となるのはその条約の強さ。資源保護自体は当然日本も大賛成であって、その取り組みも行っているにもかかわらず、提出された提案は資源保護の最も厳しい扱い、ワシントン条約の特級の3に適用ということに大きく問題視されることになる。
 確かにパンダと同じと書いてしまえば、まだまだ沢山いるクロマグロをその扱いとするのはおかしいと思うのは道理だろう。
 これがもし、一時的適用、たとえば5年間は保護する、とか期限付きであったなら日本も賛成する側に回ったのかもしれないが、ワシントン条約適用された動植物でどうものちに増えたから除外されたものがないらしい3であるから(ごめんこの事実確認取り切れなかった)無期限に適用される恐れすら存在し、それゆえの懸念が表明される。
5、中韓、そしてアフリカ・アジア各国の反発。
 結果的にこれが雌雄をわけたことになるけど、ワシントン条約てのは、禁輸措置を発動することに関し現在強く働いている条約である。
 で、これが確かに資源は減っているけれども絶滅危惧種とまでは言えず、まして養殖はおkてなものに対して発動するというのは、ま、特にヨーロッパ各国が特に生き物に対して特別な保護意識があることも重なり、他への派生が心配されたことは間違いないだろう。
 EU内では流通おkで(多分EUのワシントン条約除外措置対象にするという意味だと思われる)輸出はだめ、という見方によっては非常に利己的な主張を受け入れることができないってところが一番のポイントだったのではないか。
 もちろん、国家関係のことですから、力関係、たとえばアフリカ各国へ影響力の大きく、比較的早く反対の立場をとった中国の影響があったことも否定できませんし、「根回し」の成果だったのかもしれません。
 表向きに理由がつくのだとしたらこれでしょう。


 って感じかな。調べ調べ書いたので事実と異なることあるかもしれないことは注意。


 いずれにしても、否決され、しかも否決は確定した。
 これがまずアメリカヨーロッパとの溝にならない努力と、同時にしっかりと有効な資源保護を日本の側からも積極的に参加することは大切だろう。
 これであの時ワシントン条約に締結しなかったから大変なことになった、という事実になってしまうとその後は大変になってしまうので。


 でも日本は少なくとも近海に関しては資源保護意識は非常に高い国です。
 だからこそ自分が、クロマグロなんて高級食材を多分食ったことがない自分がこの否決を支持するのは、日本って決して横暴な行動をとらない、ということを信頼しているからで、きっと資源保護にも力を入れてくれるだろうと信じるからだったりします。
 否決されたから、ヨッシャー今まで通りとるぜ!ってな問題意識の低さは感じられないからなので、がんばってくださいとしか言えないっすね。