「激震マスメディア」NHK

 を見た。さらに裏のホリエモンたちのグダまいてるustも楽しんだ。


 NHKの番組の方はジェットコースターのようだったね。扱いたい内容で関係各所の代表的な人を集めての議論ということになっていたけど、なんというんでしょうか、目標は大空全体、それに対して各個人が高射砲で勝手な方向にバンバン撃って終わりってな議論内容でした。
 確かに目標は狙ってるし、そのまんま間違ったことはやってないんだけど、交わる接点が異様に少なかったので議論じゃなかったね。


 NHKの用意した映像もそれを助長しただろうと。
 一時間半、ネット・ツイッター連動でネタを絶やさないために様々な映像を用意しての非常に本気度の伝わる番組でしたが用意しすぎたみたい。
 テーマをもっと絞るべきだったんだろうね。


 だけどNHKの映像は頑張ってた。
 まず商標はバリバリ出していたし、日経新聞はともかくとして日本テレビへの取材でまさか土屋氏が出てくるとは。まあ前から子どもニュースあたりでも繋がってたので初めてじゃないのはわかってますがそれでも衝撃的だった。
 他方でアメリカが先進国ということでアメリカの内容が多かったけれども、マスコミの構造は国全体を寡占で覆う日本の状況とは違うんじゃないだろうか。
 裏で言っていたけどヨーロッパの状況が出てこなかったこともいまいちだったようだ。
 てかヨーロッパのマスコミの状況って俺全然知らないわ。


 あと出てきた人、各界の会長職をずらりと呼び、NHKも副会長登場、学習院大学の女史はよくわからなかったけど出てきた人たちの肩書はすごかったねー。
 先にも書いたとおり全然方向の違う話して、大概の人が「そうなるかなー」って思える半ば占い師の予言ような内容ばっかりだったので議論になること自体難しかったわけですが。決まり文句ばっかりだったので、あそこでつかわれたセリフをいつでも引き出せるようにするといつでも知ったかできる感じがするわ。
 あとドワンゴ会長川上氏は裏にも出てNHKに出たことは「黒歴史」とも発言してたのは笑いました。


 さて改めて番組を観た感想。


 そもそも、既存のマスコミ(新聞、テレビ)が脅かされるている状況は、詳しくない一般の人々にインターネットの普及によるパラダイムシフトが起きたことがまず一番大きい。マスコミの情報をうのみにする時代ではなくなり始めたってこと。
 でマスコミの側からするとその神話が崩れたがゆえに、「買う人」が減り収入に結び付かなくなってきた、ただそれが問題であることに尽きる。
 あれだな花王ショックにアサヒショックもあったし特に民放的には問題なわけ。
 マスコミも公共とはいえ公務員じゃないのだから結局は利益追求団体、収益が伸び悩む、減益する事態にまで及んでしまえばこれまでのように自由にできないことは明白、だから危機感が募るってわけだ。実際危機感だけでは済まず、現場への締め付けが厳しくなるだのテレビ番組に影響が出始めていることは「報道されてる」し。
 結局は饅頭屋業者団体が、饅頭の消費が伸び悩むことを世にアピールしているにすぎないのかもしれないってことだ。おまえら新しく出たクッキーばっかり食うなって話。


 番組内ではアメリカの報道機関がシュリンクし始めていることを危機感として煽っていた。躍進している報道機関が独自の記者を持たずインターネットで記事を集めて表示するだけの産業ってところも、「誰が記事を作るんだ?」って当然の疑問を意図してのものだろう。実際その通りだと思うのだけれども、既存マスコミ(テレビ、新聞)が失われているデメリットに関してはこの懸念ぐらいで「失われていくこと自体が問題」としか記述できていなかった気がする。
 

 ってことは結局、上記の饅頭屋問題でしかない扱いではなかったか。


 饅頭屋が危機を煽ることとの大きな違いは、「饅頭の質の劣化」「饅頭をやがては消費できなくなる」不利益こそが世間にアピールする要点になるわけだが、マスコミの場合「報道の質の劣化」「報道を受けられなくなる」不利益という饅頭に比べると非常に抽象的な内容をアピールすることになるところがまた問題になっている。
 報道の質って?報道を受けられなくなるっていうけどインターネットで見れるよ的な。後者は特に饅頭とクッキーの比較になってないで「お菓子を食えなくなる」話になるところがポイント。


 たとえば、じゃあ「お前らの報道はだめだめだったじゃん」的な、パラダイムシフトが起きたことによりその問題点を指摘できる人が増えていることから、まず危機の話から脱線は必須。いわゆる「質の劣化」プゲラ的な議論でわけがわからなくなる。まあこれはまぜっかえしだからそれは流せばいいんだ。


 問題は後者。「受けられない」ことに関して上記のように「インターネットで充分」といわれてしまえば、反論の余地は多々あるのだけど平行線になる話になるのは今のところ確実。「インターネット配信のニュース」の信用性の話に始まり、「テレビ・紙媒体」の素晴らしさとの対決って不毛な議論が予想されてしまう。
 実際NHKの番組はそうだったわけだけど、そこからわかったことはあそこにいる人たちの特にテレビ新聞側の擁護をしなければならない人にとってその危機感はあれど対策もなければ考察もないことが露呈していて結局は手をこまねいているだけなんだってことだけは見えてしまった。


 いや、まあNHKはその中でもうまくやってると思ってるんだけどね。それは民放・新聞業界のように脅かされない収益システムを持っているから余裕があるのかもしれないとは思うのだが、ツイッターにおけるNHK_PRの動きなんかは本当にびっくりするんだわ。


 さて、自分が本当に扱ってほしかった内容は新聞・テレビ報道が著しく減衰した状況、インターネットだけになった時にどうなるかという予測だった。
 まず、インターネット配信のニュースだが、実はほとんどが新聞各社のボランティア的ニュース配信が主になっているという事実。
 自分が見るものはヤフー、あるいは2chで目に付いた記事をジャンプして見るぐらいなわけだが、そのいずれもが記事を書いた当事者ではない。
 ってことは、結局は新聞会社の恩恵に授からなければインターネットしか見ない者たちもまた報道を接する機会を得られないことにも直結している。


 そりゃwebのニュース媒体もある。
 ZAKZAKだのサイゾーなどインターネット広告と提携したwebニュースがメインとなるのだろうけど、これが今のところ著しく信用性が薄いというかゴシップだらけというか・・・
 ゴシップに関しては近年のテレビ・新聞もないわけじゃないんだが、どうもwebニュース系はニュースというより週刊誌ののりなんだよな。
 報道がしっかりなされるのか、という疑問に関しては全く払しょくできない。


 あ、このあたりが記者クラブの問題点とリンクしてくるんだ。つまり「しない」じゃなくて「できない」のが現状だと。


 いずれにしても紙媒体のニュースはwebに負けるのが必然であるというのが流れなのだから、紙媒体・各家庭に配られることが失われるとどうなるかの問題と、紙媒体の資金源を失った新聞社がどのような収入源を獲得するのか、それは万人に受け入れられるのかという問題、に尽きるのだろう。
 単純に課金してしまえばいい、という状況ではないんだよねwebは。
 電子メディアであるが故か、課金に対して敷居が高くなっているところがある感じだとか……それは俺だけかな。この点に尽きる気もするが。
 あと一番確実なのは従来通りの宣伝広告料で儲けることなんだろうけど、これがうまくいっているなら今さら問題にならないからねぇ。
 個人のHP作って小遣い稼ぎをするのとではスケールが違うんだろう、多分。
 

 そしてテレビ。
 テレビってのはなかなか面白いもので、見方を変えると炊飯ジャーみたいなもんなんだな。
 炊飯ジャーは基本米しか炊けない専用機で、海外から見ると非常に奇異な目で見られる装置の一つだ。東京人から見た大阪人の各家庭に存在するたこ焼き装置と考えてもいいかもしれない。
 他方インターネット配信までできる今の状況でテレビ、という装置はテレビという媒体しか見ることができない専用機でしかない。そりゃまあタコ焼き機に比べれば汎用性はあるけれども、ネットの動画配信、携帯での動画などの選択肢の一つに過ぎないのだけど、その受像専用機としてしかも各家庭に存在する恐るべきものなのだ。
 テレビ媒体の衰弱とは、このテレビが各家庭にはなくなっていき、マルチな機械いわゆるテレビも見れるパソコンだの携帯だのが主流になってマスメディアに接する本当に数あるうちの選択肢の一つに埋もれるってことを意味してしまう。
 

 さてテレビの報道の強さとは何かって話だが、新聞のような確実な記述に基づいたものというよりはむしろ、劇的な映像、場の雰囲気を盛り上げる音楽(アメリカなんかはやらないって話だね)、そしてなんといっても即時性を煽った実況が起こる期待感だろう。
 勘違いしがちなところだが、我々は同じ報道を何度も見るのは大好きだ。一度報道を見れば納得するわけじゃない人はほとんど、結局は同じことしか言ってない報道も、とくにテレビでなら何度も見てしまうというのが我々の本質ではないかと思う。
 だから、テレビの報道に対して求めているものってのは、他のマスコミと同じように情報が第一だから正確さだの詳細さだのは大切なんだけれども、それ以外のもの、たとえば誰かと一緒に見るとか、実は共通のコミュニケーションツールとしての役割って大きいと思うのだ。
 一斉に報道される、今ならそれに反応してインターネットの2chの掲示板に書き込んでなれ合う、議論することができる。これはやっぱり強いよ。


 だから、もしもテレビが衰退すると、デジタルデバイドも進行するのだけど、いわゆる日常の取りとめもない共通情報が失われていくんじゃないだろうかって気がする。
 そりゃまあ、毎日ネット配信のニュースで(ネット限定の動画のやつだってあるし)みなが納得していくのかもしれないが、同時性は失われていく。


 あと、そもそもテレビがなぜこれほど普及しているかといえば受像機たるテレビには金を積むが、情報を得ること自体にほとんど金が要らないというメリットが日本にはあると思う。
 俺はNHKは払っているけどもさ。払わなくても見ることができる。
 これがWOWOWのように課金しないとスクランブルかけられちゃった場合、見る人は激減するよね。
 ここに関してはアメリカなんかケーブルテレビだらけだって話だから、その状況はわかると思うんだけどその点に対する考察って俺が不勉強だからあんまり読んでないんだよね。


 たとえばだけどテレビを見ない層ってのはすでにいる。
 その人たちがテレビを見ないことによって不利益を被っているか、に関してはよくわからないんだけど、今のところ目立ったものはないよね。
 だから結局テレビが失われても何も問題が起きないのかもしれない。
 他方で、そのテレビを見ない人たちも結局は間接的にテレビの恩恵にはさずかっている可能性は高い。ゴキブリを全滅させたら何が起きるかわからない的な思考(生命バランスを崩すと何が起きるかわからないって話ね)だけど、その不気味さはやっぱりある。


 まあ、寡占が原因だけどテレビ業界が金満であることってのはわかりきってるので、まだダイエットで耐えられるんじゃないかと思うんだけどね。


 さて、他方でインターネットの問題点だけど、これが実は万能に見えていろいろ問題があるんだよね。


 ・・・


 時間がなくなった。裏の話なんかも書きたかったけどまずはここまで。